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2級着付け技能士合格のコツ【実技試験】
コツ①要項を読む
なにを当然のことを‥、とお思いかもしれません。しかし、意外と読み飛ばしていたり、忘れてしまったりと後から慌てることも多いのです。
実際に、技能検定対策講座に通っていた際の同期は、試験直前に「そんなこと書いてあったの⁉」と慌てていました。
1度だけでなく、折に触れて何度も読み返すことをおすすめします。
また、読み進めながら注意すべき事項にマーカーを引いていくと後から見返した際にひとめでわかります。
それでは、私が受験した年度の要項を改めて読み返し、注意事項をいくつか上げてみます。
要項の注意ポイント
- 受験者の服装は、着付け作業にふさわしいもの
- 持参品点検の際は検定委員が確認しやすいよう、種類や数がわかるように並べる
- ボディの台から肩先まで125〜130cm
- 着物は上前の胸に柄があり、前身頃と衽の柄がつながっているもの
- 補正に使用するタオルやコットン、ガーゼを加工して持参することは不可
他にも、仕様の詳細や、寸法の目安、持ち込みできるもの、できないものなど重要な情報が盛り沢山。
合格のための近道は、要項を制することと言っても過言ではないです!
実技試験当日の会場では、明らかに要項を読んでないな、という受験者の方が若干名いらっしゃいました。
要項を読んでないと感じたポイント
- 着付けにそぐわない、柄入りのブラウス
成人式や式場にいる着付け師さんをイメージしてみてください。白シャツに黒いボトムス、髪はコンパクトにまとめた清潔感ある落ち着いた方を想像しませんか? - 点検の際、すべての道具を重ねて配置している
審査員の方が確認しやすいよう、という観点が漏れていますね。 - 紐付きの肌襦袢を持参している
付属の紐を補正に使用することは禁止、という記載に触れないか気になりますね。あえて冒険する必要はないと感じます。
実際に、注意された受験者さんは、ハサミで紐を切って使用を許可されたようです。
この記事を読まれている方が、普段から着付けのお仕事に従事されていたとしても、検定と実務は異なります。
いかに仕上がりが美しくとも、要項の失格要件に該当すれば合格はできません。
決して安くは無い受験料を支払って受験するのですから、要項に記載されていることは確実に押さえて実技試験に臨みましょう。
コツ②持参品の選定
要項を確実に把握したら、持参品を選定します。使用する道具類は練習から本番まで同じものを使う方が良いです。
道具が変わると着付けも変わります。
必要になったら変えれば良いか、と安直に考えてしまうと、本番と同じコンディションでの練習量が減ってしまいます。
それを念頭に入れて、慎重に選定しましょう。特に着物のサイズ感は重要です。
ボディに対して大きすぎても、小さすぎても着付け辛くなります。
もし、検定対策講座に通われていて、一式レンタルができるのであれば利用を強くお勧めします。
ボディはサイズが指定されています。
加えて、おはしょりのサイズも目安としてですが明記されています。
ボディ・おはしょりの規定
- ボディの台から肩先まで125〜130cm
- おはしょりの長さは5cm~7cmを目安とする
おおよそ150cm代後半〜160cmくらいの身長を想定してのことだと思います。
それなら手持ちの着物が合うはず、とあなどってはいけません。体型や着物の落ち感、様々な要素によって着付けは変わります。
訪問着のサイズは少し大きめがよい
わたしは母の訪問着を使用したのですが、当初用意したものは落ち感がなく、指定のおはしょりの長さを取ろうとすると、裾が短くなってしまったのです。
着付けでなんとかできないかと、講師の先生と色々試してみましたが、検定でギリギリを攻めるのはリスクがありすぎる、という結論になり別の訪問着に変更することになりました
また、着物と長襦袢の振りについても忘れず確認してください。
同期のひとりは、検定用に購入した訪問着が二尺袖で、市販の長襦袢と袖丈が合わず、和裁士さんにお直しをお願いすることになりました。
このように、規定に合わせて道具を準備するだけでも非常に労力を使います。
手持ちの肌襦袢に紐がついている場合は、新たに買い直さなければいけませんし、クリップにメモリがついている場合はシール等で隠す必要があります。
自分は手持ちの道具があるから大丈夫、と安心せずに、要項が公示されたらすぐに手持ちの道具が条件に合致しているかご確認ください。
そしてこの労力を解決してくれる裏技が、講座での一式レンタル、と言うわけです。
コツ③ 検定当日を想定した【通し練習】
「今日は、長襦袢着付けだけ。」「明日は、着物・帯の着付けだけ。」
ポイントごとに練習するのも、時間がないときにはよいでしょう。
しかし、通し練習をすることで、見えてくるものもたくさんあります。
通し練習で見えてくるもの
①着付け以外で不安に感じること→点検の際の並べ方、手早く転換する手順など
②体力・集中力の消耗具合
③前の工程でのしくじりが与える、後続への影響
特に、ポイントごとの練習では気づかないことが自分の体力、集中力です。
一度通し練習をするとわかりますが、想像よりも体力を使います。
自分の体力を自覚し、どの工程に力を注ぐべきなのか、よく検討しましょう。
また、点検の並べ方や転換の手順についても、流れで練習することでこの配置だと使いにくいな、移動させにくいな、ということがわかってきます。
点検は、一度セッティングしてから、審査員の気持ちになって点検してみるのもおすすめですよ。
タオルは枚数を数えやすいよう、「わ」を正面に向け、少しずつズラして置く、など工夫すべき点が見えてくるかと思います。
通し練習の際は、タイマーを使用して練習してくださいね。
残り時間を音声で読み上げてくれるアプリを使うのもおすすめですよ♪
残り◯◯分のときに、この工程に入っていないとまずい。このタイミングでかならず伊達締めを持つ、など時間配分を考えやすくなります。
コツ④ 採点基準を意識する
繰り返しになりますが、通常の着付けであれば、お客様の体型や雰囲気に合わせて着付けを変えますが、検定は実務とは異なります。
個人の着付けの好みではなく、採点基準に合わせた着付けをすることが重要です。
これについては、次の項目で詳しくお伝えしますね。
2級着付け技能士実技試験の採点基準を予想!
私が検定を受けた際、ここは採点基準であろう、と予想した項目を上げていきたいと思います。
要項に記載されている内容はすべて採点項目という前提で、お話していきます。
要項は年度によって少しずつ改定されていますので、かならずご自身が受験する際は、最新版の要項をご確認くださいね。
持参品
要項に記載されている内容に適合しているか。
- 訪問着の柄行は規定通りか
- ボディの高さは規定の範囲内か
- 補正用コットンやガーゼ、タオルを加工していないか
- クリップにメモリや鈴がついていないか
- 規定の数をオーバーしていないか
点検の際のセッティング
- 検定委員が数えやすく配置されているか、指定通りのたたみ方になっているか
- 長襦袢は要項通りの見せ方になっているか
- 指定された畳み方になっているか
- 伊達衿の紐が見えるように配置しているか
- 帯は平ら、または屏風だたみになっているか
受験者の服装
- 着付けにふさわしい装いか
- 柄シャツや金髪、派手なメイクなど、悪目立ちしないこと
- ヘアスタイルは、長髪の場合は顔にかからないようまとめる
- アクセサリー類は、結婚指輪程度にとどめる
- 腕時計は、着物を傷つける恐れがあるため外す
長襦袢
- 裾が短かすぎないか
- 正面からみた際に、裾が中心でクロスしているか
背縫い
- 背中心がずれていないか
- 上から下まで一直線に揃っているか
通常、下半身の背中心はずれても良いとされていますが、検定では一直線を目指した方が良いです。
裾に向かって若干右によっていますね
衣紋
- 抜き具合が拳1つ分か
- 中心から長襦袢、伊達衿が見えていないか
衿合わせ
- 中心がずれていないか
- 半衿の幅、着物の衿幅が左右対称か
- 半襟の出具合が、衿合わせの中心で1.5〜2cmに収まっているか
振り
- 長襦袢と着物の振りが合っているか
- 長襦袢の振りが飛び出していないか
おはしょり
- 長さは5〜7cmか
- おはしょり芯を使用していないか
- 下前が重なってモコモコしていないか
- 右下がりになっていないか
裾
- 下前が落ちていないか
- 裾つぼまりになっているか
- 床スレスレの長さになっているか
- 上前の褄先が、床から5cmほど上がっているか
帯
- 正面からみた際に、船底になっているか
- 正面からみた際に、一周目の帯が見えていないか
お太鼓
- タレの長さは7〜10cmか
- 手先が2cmほど見えているか
手先が出ていない場合は二重太鼓と認められない可能性も - 横からみた際に、お太鼓の形がきれいな三角形になっているか
- 二重太鼓の重なりが、2枚キレイに重なっているか
帯締め
- 本結びになっているか
※結び目の重なり方は要項のイラストに合わせます - 船底になっているか
- 帯幅の中心を通っているか
帯揚げ
- 出具合が左右対称か
- 枕にきちんとかかっているか
- 脇でだぶついていないか
袖をめくってチェックされる場合もあるそうです。
所作
- 着付け師としてそぐわない所作をしていないか
道具を引きずる、投げる、踏む、立膝、ボディが動くほど、乱雑に扱う など - 持参したすべての道具を使用しているか
コットンやガーゼは除外 - クリップが持参した数だけ残っているか
- 余ったコットンやガーゼ、ハサミなどが整頓されているか
全体の仕上がり
- 余分なシワやたるみがないか
- 衿合わせ、帯揚げの中心・帯締めの結び目が縦一列にそろっているか
- お太鼓や振りの長さが左右対象になっているか
こんなにたくさんあるなんて…。
読んでいるだけで嫌になりそうですが、要項に記載されている目安やイラストには忠実に従っていきましょう。
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