1級着付け技能士の受験資格【実務経験】はどこでできる?
着付け技能士受験を考えているあなたへ、受験に必須となる条件【実務経験】はどこでできるかを、徹底解説します!
着付けを仕事にする職業といえばなんでしょう。パッと思い浮かぶのは以下でしょうか。
- 着付け教室の講師
- レンタル着物店
- 結婚式場
- 美容室
- フォトスタジオ
この中でよく求人が出ている職業としては、レンタル着物店とフォトスタジオですね。
美容室では、必要なときに依頼が来る「業務委託」の形を取っているところが多いです。
美容師の免許を持っている場合は、美容室に就職しながら着付けの実務経験を積むこともできますよ。
しかし、美容師ではない場合、レンタル着物店と、フォトスタジオ、どちらが実務経験を積むのに適しているのでしょうか。
それぞれ特徴を見てみましょう。
Contents
着付け技能士の実務経験はどこでできる?
レンタル着物店で実務経験
京都や奈良、浅草や鎌倉など、歴史ある観光地での着付け師の求人が多いですね。
近年は外国人のお客様向けのサービスも増えてきており、語学のスキルが役に立つ場面も。
そんなレンタル着物店でのメリット、デメリットを考えてみます。
メリット
- 大人の着付けをたくさん経験することができる
- 外国人の着付けをする機会もあり、様々な体型の方の着付けをすることができる
- 客層は外国人の方を除くと若い世代が多く、トレンドの柄や着付けを学ぶことができる
- 1日にたくさんの方を着付けるので、素早く着付ける練習になる
- 観光地の近くにお住まいの場合、求人が見つけやすい
デメリット
- おしゃれ着や浴衣の着付けが多く、礼装の着付けを実務として取り組みたい場合は不向き
- 素早さが求められるため、こだわりや丁寧さを大切にする方はストレスを感じる場合も
- コーディネートや着物の格に対して信念がある方は、物申したい場面もあるかも
- 比較的リーズナブルな価格帯のお着物を取り扱っているお店が多いため、良いものを見る目を養いたい人は、お店を選ぶ必要がある
フォトスタジオで実務経験
お子様やご家族の大切な日に立ち会うことができる、やりがいのあるお仕事です。
子供好きの方や、保育士、幼稚園教諭の資格保有者優遇の求人もあり、お持ちのスキルを活かせる可能性があります。
そんなフォトスタジオでのメリット、デメリットは以下の通りです。
メリット
- 訪問着や振袖など礼装の着付けに携わることができる。
- お子様の着付けも学べる
- 晴れの日のお着付けが多いことから、マナーや丁寧な接客が身につく
- 着付け以外のスキルも学べる場合がある(撮影やメイクのアシスタントなど)
- 観光地でなくとも、ファミリー世帯が多い地域では求人を見つけやすい
デメリット
- 着付け以外の業務の負荷が高い場合がある
→受付や撮影補助、着物からドレスへのお着替えのお手伝いなど - 写真で美しく見えることが重要なため、着物は簡易な作りになっていることがある
→特にお子様向けのお着物は、マジックテープタイプのものが多いのだとか - お子様の記念撮影の機会が多くなると思われるため、お子様が苦手な方には不向き
自分がどんな経験をつみたいのかによって選択は変わります。
それぞれのメリット、デメリットを勘案した上で、より自分が取り組みたいと思う職場が見つかると良いですね。
着付け技能士の実務経験なしでも仕事はできる?
着付けの仕事は無資格でもできます!
着付け技能士は仕事をする上での技術レベルを認定する資格です。
美容師や看護師、作業療法士など、業務独占の資格とは異なります。
業務独占の資格は【資格を持っている人しかその業務にあたってはならない】という規定がありますが、着付け技能士はあくまでも技術レベルがこのくらいあります、という目安です。
そのため、資格を持っていないと、着付け師として仕事ができない訳ではありません。
未経験から新しい世界に飛び込むのはとても勇気がいることですが、誰でもチャレンジできる門戸が開かれているということでもあります。
一歩踏み出すことができれば、きっと自分の世界も広がるはず。
着付け技能士受験には【実務経験】が必須
1級着付け技能士の受験資格に実務経験があります。そのため、実務経験は必須になります。
受験資格
1級:5年(実務経験のみ)
2級:2年(実務経験のみ)
1級の場合は、指定の教育機関を卒業している場合、実務経験の年数が短縮される場合がありますが、いずれにしても実務経験が必要です。
そのため、繰り返しになりますが受験にあたって、実務経験はかならず必要です。
勤務実態の証明などは必要ありませんし、調査などもされないようですが、受験申請する書類にどこで、何年、どんな業務に当たっていたか記載する項目があります。
そこで不明点があると、電話確認されることもあります。
私の知人は、記載した西暦と、勤続年数が一致しておらず協会から電話確認が来たそうです。
後から勤務実態がないことがわかり、合格が取り消しになる可能性もありますので、虚偽の申請は絶対にやめましょう!
着付け技能士の実務経験は教室でできる?
他装を学ぶために着付け教室に通っている方もいらっしゃると思います。
多くの場合、自装コースを修了して、さらに他装も学んでみたい、という思いから上級コースに進まれた方が多いのでは。
着付け技能士取得を目標に、実務経験を積む場所を探しているなら、教室の先生に相談してみましょう。
講師と着付け師、ふたつの選択肢から選べる可能性があります。
講師として働く
自装ができるのであれば、自分が通っている着付け教室で講師として実務経験を積むことができるかもしれません。
通っている教室では募集がなくても、別の校舎や系列の教室に紹介してくれる場合もありますので、まずは聞いてみるのが良いと思います。
また、他装と合わせて実務経験を積みたい、という思いがはじめからあるのであれば、講師を養成するコースがある教室を選ぶのがオススメです。
コースの目的が講師の養成ですから、教室自体が講師を求めている可能性が高いです。
また、その教室で募集がなくとも、独立して自宅で着付け教室を開くサポートをしてくれる場合もあります。
自宅で教室を開くのであれば、欠員の状況に左右されず、自分の望むタイミングで始められるのですぐにでも実務経験を積んでいきたい、という方にはおすすめといえるでしょう。
もちろん、個人で教室を開くとなると、どのように集客するのかなど考えるべきことがたくさんあります。
欠員が出るタイミングを待って、安定した収入を得たいのか、安定はしなくともすぐにでも実務として経験を積んでいきたいのか。
しっかり検討しましょう。
出張着付け師として働く
教室にもよりますが、出張着付けや来店での着付けを請け負っている教室も多くあります。
講師業ほどコンスタントにお仕事があるわけでは無いと思いますが、少しずつでもいいから経験を積みたい、という方はそちらも視野にいれると良いでしょう。
私も着付け教室での着付けサービスを何度か利用したことがあります。
安心感があり着付けもキレイなので【どこで着付けてもらえばいいかしら?】と相談された場合は断然着付け教室です!とお答えしています。
着付け技能士の実務経験を独学の人がつむ方法
どこにも所属せず、実務経験を積んでいくことは可能です。具体的な例を挙げていきますので、参考にしてくださいね。
成人式は代え難い経験!
着物を着る一大イベントといえば、成人式ですよね。毎年シーズンになると、成人式着付けの求人をたくさん見かけます。
成人されるお嬢様達の大切な日に携わることは、緊張もしますが貴重な経験になることは間違いなし。
一度は経験しておきたい現場のひとつです。
こんな人にオススメ
- 早起きが得意で体力に自信がある
- プレッシャーよりやってみたい!という好奇心の方が上回る
- プロの現場の雰囲気を経験したい
- 礼装の着付けにチャレンジしたい
七五三シーズンは引っ張りだこ!出張着付け
お子様がいらっしゃるご家庭での着物イベントといえば七五三ですよね。
お子様と一緒に美容室や着付サロンに大きな荷物を抱えて移動するのは大変です。
そんなときに重宝されるのが出張着付け。
出張着付けなら自宅や店舗など、着付けスペースがなくてもお仕事ができます。
近くに出張着付けのサービスがあると知ったら、喜ばれるご家庭も多いのでは。それがご近所の顔見知りの方なら、安心感もありますよね。
奥様方の口コミも集客に繋がる可能性大です。
こんな人にオススメ
- 店舗や自宅に着付けのためのスペースがない
- お客様のお宅にお邪魔することに抵抗がない
- 自宅の近くでお仕事がしたい
- ご近所の方と交流したい
- 指示してくれる人がいなくても、自ら考え、行動できる
自分で機会を作れば解決⁉イベントに出店する
近年、お着物を普段からお召になる方も増えてきました。
様々な着物関連のイベントが各地で開催されており、ワークショップや着物体験など体験型のコンテンツも見かけるようになりました。
そのようなイベントに申し込んで、来場者の方にお着付けすることもできますよ。
こんな人にオススメ
- 自分のスケジュールで仕事をしたい
- イチから企画を考えるのが好き
- 着物を楽しむ人と交流したい
- 店舗は構えず色んな場所に行ってみたい
- フリーランス同士のつながりが欲しい
- イベント関係者と適切なコミュニケーションが取れる
花火大会は絶好のチャンス!浴衣レンタル着付
夏には花火大会が各地で開催されますよね。花火大会に行くなら浴衣を着たいな、なんて方も多いはず。
自宅の近くで花火大会が開催されるなら、それはチャンスです。
着付けだけでももちろん良いと思いますが、わざわざ花火大会のためだけに浴衣を購入する方がどのくらいいるかしら?と考えると、レンタルオプションも用意したほうが利用してくださる方は増えるはず。
ご自宅でも良いですし、少し距離があるならレンタルスペースを借りて1日だけのレンタル着物店をオープンしてみてはいかがでしょう。
お客様が喜んでくださったら、翌年以降もご縁がつながっていくかもしれません。
こんな人にオススメ
- 花火大会の思い出を浴衣着付けで盛り上げたい
- 自宅からアクセスしやすい場所で有名な花火大会が開催される
- 苦しくない着付けに自信がある
- レンタルできる浴衣がたくさんある
大学の卒業式に出張!晴れの日を華やかに
着物を着るタイミングといえば、卒業式。大学の学生課に掛け合って、大学内で着付けをするという手も。
着付けだけでなく、袴のレンタルができれば準備ができないから和装で卒業式に出席するのは諦めよう、と思っている方にも喜ばれるかもしれません。
営業をかけるガッツが必要になるのでハードルは高いかもしれませんが、ご縁が繋がれば翌年以降も継続していただける可能性も。
文化祭で着付け
私が通っていた大学では、毎年夏前に新入生が作品やパフォーマンスを披露する、プチ文化祭がありました。
ある年に「和」がテーマになり【積極的に浴衣を着よう】と、当時の文化会の方たちが着付け師さんを呼んでくれたのです。
安価で浴衣着付けをしてくださるというので、自分で着付けができない学生さんに大好評でした。
大学内で機会を得ることができれば、学生さんたちに対しての広報は実行委員会が担ってくれたり、サポートしてくれたりする場合もあるので、一度交渉してみるのはいかがでしょう。
こんな人にオススメ
- 安価でもたくさんの人に和装を楽しんで欲しい
- 継続してお仕事ができる環境が欲しい
- 学生さんの晴れの日に立ち会いたい
- アウェーな場所にも体当たりできるメンタルの強さがある
まとめ
着付けの実務経験というと、フォトスタジオや式場などのオーソドックスな働き方がまずは浮かんできますが、自分のアイデア次第で機会は作れるものなのです。
固定観念に縛られる必要はありません。
同時に、式場など格式のある場所でしか学べないこともたくさんあります。変わらず続いてきたものには、相応の理由があるからです。
多様性が求められる時代、着物という伝統文化であっても、関わり方は変わっていきますし、変えていいのだと思います。
着物に触れる機会が増えれば、私達着付け技能士の活躍の場も広がります。
引き継ぐべきことは大切に引き継いで、そうではないことは時代の流れに合う形に変化させていく。
様々なスタンスの方が、それぞれに楽しめる着物との関わり方を提案をしていけたら素敵ですよね。
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